2007/01/04

分断国家ツアー体験〜後編

DMZツアー終了後、お昼を挟んで板門店(JSA)ツアーへ。

DMZは参加者が日本人のみだったのですが、板門店ツアーは他の外国人(主にアメリカ人)と一緒のバスに乗って行きます。
車内では英語&日本語の説明ガイドが付いています。

板門店へ行く途中、非常時には道を爆破して進路を塞ぐコンクリート・ゲートがあったりと、時々キンチョーはするものの、バスの窓から見えるのどかな田舎の風景を見ていると、どうしても実感が湧かないですね・・。平和ボケのうさうさです。

検問所でパスポートチェックされ、いよいよDMZ(非武装地帯)内へバスが入って行きます。

さらに奥へ入ると、国連(UN)統制下で米軍と韓国軍が共同警備しているキャンプ・ボニファスへ到着。そこで今度は護衛として米兵同乗で国連軍専用バスに乗り換えます。ここでもパスポート・チェックがされます。

キャンプ・ボニファスでは板門店の歴史についてのスライドショーを見た後、「訪問者宣言書」なるものにサインをさせられます。
要は敵の攻撃は予測不可であり、それによって死傷することがあっても一切責任は取らないよ!という内容(笑)。
まぁ、まだ休戦中ですから、何があってもおかしくないということで・・。さらに、決められた場所以外での写真撮影の禁止や「むやみに指差ししてはダメ」とか、色々と細かい注意を受けます。
「指差し」って意外とやっちゃうんですよねー(笑)


さて、いよいよ軍事境界線の38度線に股がる板門店内部に入ります。

ここで警備している韓国軍の軍人は映画「JSA」に出てくるのと全く同じ(当たり前ですが、笑)。
建物から半身だけ出して、いつでも戦闘態勢が取れるように微動だにせず立っています。

ここに配置されている軍人は韓国軍の中でもエリート中のエリートだそうです。「だから、ここにいる軍人さんにマザコンはいません」とガイドさん(苦笑)。

ツアー客は2列に並ばされ、みんなが押し黙って、よくメディアなどで目にする青いプレハブ小屋の「軍事停戦委員会会議場」の内部へ入ります。ここはさすがにちょっと緊張(汗)。

この部屋の中央テーブルが南北の境目に位置しています。


部屋の内部。

この軍人さんが立っているところは北朝鮮の領土です。

表情が全く分からない真っ黒なサングラスが不気味な雰囲気を醸し出していました。


この部屋の中だけは北と南を行ったり来たりできる不思議な空間。

窓の外を見ると南北の境界線を表すコンクリートのラインが見えます。
砂利敷きしてある方が韓国側。土が北朝鮮側。
この写真は北朝鮮の領土から撮っているということです。

北朝鮮側の警備塔。
ここから絶えず北朝鮮の軍人が双眼鏡で韓国側を監視しているそうです。

今日も見ているのかな?



奥には北朝鮮側の建物「板門閣」があり、北朝鮮の兵士が警備しているのが見えました。







北朝鮮と韓国を繋ぐ唯一の橋「帰らざる橋」の入り口に韓国側の警備所が見えます。

76年、この警備所の視界を遮っていたポプラの木を切断しようとしたアメリカ兵士を北朝鮮兵士が殺害したことで、それまでJSA内だけは自由に行き来できたのに、その事件以降は完全に南北が分断されてしまいます。


「帰らざる橋」。

軍事境界線の真ん中にあるこの橋は、休戦協定後、捕虜交換の場となり、北へ行くか、南に行くか一旦決めたら2度と戻れないということでこう名付けられています。

一見穏やかな草原ですが、DMZラインを示す白い杭が等間隔で打ち込まれているのが見えます。
この辺りには無数の地雷が埋め込まれているとのこと。「即死するほどの殺傷能力はなく、時々(地雷踏んで)片足がない鹿やイノシシがいます」とガイドさん(汗)。

板門店は約4時間のツアーでしたが、やっぱり来て良かった!
JSA自体は言われていたほどにはあまり緊迫した印象は受けなかったのですが、キャンプ・ボニファスで大きな軍用ヘリから降りて来た沢山の韓国軍兵士達を見て、アヒル氏が兵役中であり、非常事態発生時にはいつでも前線に送られる可能性があるということを実感しました。

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